好調なスタートを切ったBTC 1月の相場上昇は本物か?:2月のBTC相場

1月の振り返り:膠着相場打開でFTXショックの下げ幅を完全奪回
1月のビットコイン(BTC)は17,000ドル手前での膠着相場を打開し大幅に反発。月足終値は23,000ドルを回復し、昨年11月のFTXショックによる相場の急落に止まらず、直近5ヶ月ほどの下げ幅をほぼ解消した。
昨年12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、利上げ幅がそれまでの75ベーシスポイント(bp)から50bpに縮小された一方、2023年末時点の政策金利見通しが4.6%から5.1%に引き上げられたことで、BTCは17,000ドルを僅かに割り込んだ。米国の景気後退が懸念される中、米連邦準備制度理事会(FRB)が2023年も高水準の金利を維持するとの観測から、年末の相場は方向感を失い膠着相場となった。
一方、2023年になるとアルトコインを中心に買いが入り、BTC相場もジリ高に転じると、12月の米雇用統計で賃金上昇率が鈍化しインフレ減速期待が台頭。そんな中で注目されたパウエルFRB議長のスウェーデンで開かれたシンポジウムでの発言では、金融政策に関する具体的な発言が控えられ市場は安堵した。これにより、BTC相場は17,000ドルを回復すると、12月の米消費者物価指数(CPI)が前年比で6ヶ月連続減速したことを受け、上値を追う展開に転じ、ショートポジションを踏み上げて21,000ドル周辺まで戻した。
1月中旬のBTC相場は一時的に21,000ドルを挟み込み足踏み。18日にはセントルイス地区連銀のブラード総裁とクリーブランド地区連銀のメスター総裁が、政策金利を迅速に5%以上に引き上げるべきとの発言をしたことで、米株が急落したが、BTCは久しぶりに相場が上昇したことやFTXショックの下げ幅を解消したことで買い支えられた。すると、20日にはFRBのウォーラー理事とフィラデルフィア地区連銀のハーカー総裁が、利上げ幅縮小を支持する発言をしたことで、BTCはさらに一段高を演じ23,000ドルを回復した。
一方、1月下旬に入ると相場は23,000ドル周辺で高止まりとなり揉み合いに転じた。この間、テスラが昨年第四・四半期にBTCを追加売却していなかったことや、12月の米個人消費支出(PCE)が前年比で減速、さらにライトコイン(LTC)、ソラナ(SOL)、ドージコイン(DOGE)の相場が上伸するなどBTC相場にとって好材料があったが、FOMCを前に警戒感もあり、相場が24,000ドルに肉薄するとポジション調整気味に売りが入り、保ち合い上抜けには失敗した。

相場は上がったが気になる点が多すぎる?
一方、2月に入るとBTCはFOMCを通過し反発。市場の予想通り、FOMCは2会合連続で利上げ幅縮小を決定した一方、声明では利上げ継続と既定路線維持が示されたが、パウエルFRB議長が会合後の記者会見で「現状ではディスインフレのプロセスが始まったと初めて言える」と発言し、市場は米経済がインフレ低下局面に入ったことをFRBが認めたと受け止め好感した。
こうして好調なスタートを切った2023年のBTC相場だが、2月もこのまま上値を追う展開が続くかには疑問点が多い。先月のマンスリー・レポートでも指摘した通り、市場とFRBの金利見通しには依然として乖離があり、FRBは5.25%での利上げ停止で年内は据え置きを想定している一方、1月のFOMC通過後でも市場は5%での利上げ停止から11月の利下げ開始を予想している(第2図)。勿論、FOMCの政策も流動的なため、労働市場の逼迫解消やインフレの継続的な減速がこの先の経済指標で確認されれば、FOMCが市場に歩み寄る可能性もあり、市場はその可能性を織り込んでいる格好だ。
ただ、1月のFOMC後にパウエル議長からは「インフレを2%に戻すための景気抑制的な政策スタンス獲得のために規定の利上げは適切だ」との発言があった他、インフレが2%に戻っていると自信を持つには「より多くの証拠が必要だ」とも発言しており、市場は都合の良い発言だけを掻い摘んで解釈した印象もある。そのため、市場にとって都合の悪い経済指標(強い雇用やインフレ統計)が出れば冷静さを取り戻す切っ掛けともなるだろう。
また、こちらも日々のレポートで指摘してきたが、テクニカルのトレンド指標では、BTCは強気相場であることが示唆されている一方、相対力指数(RSI)のダイバージェンスが出現しており(第4図)、目先で相場が押す展開には要注意と言えよう。オシレーター指標のダイバージェンスは価格トレンドの勢いが衰退していることを示唆し、価格トレンドの反転シグナルとされている。実際、BTC相場はFOMC後に上昇したが、終値でのレンジ上方ブレイクには至っておらず、重要イベント通過で買い息切れとなることを予兆しているようにも見える。
最後に、1月のBTC相場上昇時における先物市場動向も気掛かりな部分がある。まず、第2週の相場上昇だが、2億ドルを超えるショートポジションが清算されると同時に建玉が減少している(第3図)。Coinbase等の主要な取引所ではある程度の現物取引出来高の増加が確認されたが、こうしたデリバティブ市場の動きから鑑みるに、本格的にBTCへの需要が回復したかには疑問が残る。


リスクも多いがアルトに望みも
以上のことから2月のBTC相場は調整の余地があると言えるが、相場が崩れるような展開は避けられると見ている。上述のようにBTC相場の上昇継続に疑問が残る点はいくつかあるものの、外的なマクロ要因が引き続き味方すれば底堅い推移が続こう。また昨今では、Twitterの決済機能導入の報や、LTCの半減期織り込み、さらに3月に予定されるイーサリアムのシャンハイ・アップデート等を視野にアルトコインが物色されており、BTC相場を支える材料となっている。
シャンハイ・アップデートを巡っては、ビーコンチェーンにステーキングされているETHとPoSの報酬が解放されることから一部で売り圧力が懸念されているが、ステーキングへの参入障壁が下がることに繋がると指摘されることから、ステーキング需要増を見込んだ買いが相場を支えやすいと見ている。実際のアップデートの際には、米国のタックスシーズンにも差し掛かるため「事実確定売り」には注意したいが、2月中はアップデートを織り込みETH相場は底堅く推移するか。
その他、BTC相場には心理的節目の20,000ドル周辺に200日移動平均線や週足一目均衡表の基準線が密集しており、同水準周辺のエリアは相応に強いサポートになると見ており、2月は20,000ドル台前半での値固めが続く展開をメインシナリオとして想定している。ただ、想定に反して足元の保ち合いを上方ブレイクできれば、25,000ドル周辺には週足200本移動平均線や昨年8月高値(25,200ドル)が待ち構えており、現状では同エリアの上抜けには相応に強い材料が必要と見ている。

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