Ethereum Monthly Review:価格は底値から90%上昇、1.2億ドルのショートポジション清算が発生

真田雅幸
2022-08-10
(
Wed
)

イーサリアムの週足チャート

出所:bitbank.ccより作成 1時間足
  • イーサリアムの週足はここ数週間底堅い値動きが見られる。先週まで5週間連続で陽線を記録し、継続的な買い需要があった。価格は6月2週目に記録し12万円を底値に反発し20万円台を回復した。週足は3週間前に約2ヶ月移動平均線の8EMAを上回り、強気の値動きに移行している。
  • 現在の週足は22.8万円で推移し底値から10万円ほど上昇しているが、25万円近辺にはレジスタンスがあり上値が重くなっている。ここまで数週間は強い値動きが続いていたが、短期の利益確定の売りも予想され今後は揉む展開が予想される。

今週のデリバティブ市場

1.無期限先物取引の資金調達率

出所:glassnode.comより作成 1時間足
  • イーサリアムの資金調達率(FR)は現在、プラス圏で安定して推移している。6月に13万円近辺で取引されていた時、FRは-0.015%まで下落したが、価格の上昇と共にFRも回復している。先週は0.01%を超える場面もあったが、現在のFR(0.002%)は小幅にプラス圏で推移している。一方、多くのロングポジションが積まれている状態ではない。

2.ショート清算

出所:glassnode.comより作成 1時間足
  • 6月以降はデリバティブ市場で大きなショートポジションの精算が目立った。7月8日には1.2億ドルのショートポジションの精算が発生し、昨年9月以来の高さを記録した。6月以降は5000万ドル級の精算が複数発生しており、売り手には厳しい値動きとなった。6月半ばまで強い下落トレンドが続いていてたため、ショートポジションを持つトレーダーが多くいたことを示している。

3.先物価格乖離(3ヶ月)

出所:glassnode.comより作成 1時間足
  • 3ヶ月先の先物価格と現物価格の乖離率は下落傾向が続いている。こちらも長い下落トレンドの影響から価格の上昇を見込んだトレーダーは減少している。現在の乖離率は-0.1%程度で推移している。2020年9月来の低水準で推移していることからも、先物市場ではかなり弱気な雰囲気が漂っている。投機熱はかなり冷めていると言え、現在の価格水準は長期的には買い場かもしれない。

今週のオンチェーン

1.ハッシュレート

出所:glassnode.comより作成 1時間足
  • ハッシュレートは5月の最高値から足元で下落している。5月には史上初めて1兆ハッシュ/秒を超えた。一方、相場の環境の悪化により5月後半からハッシューレートは急落し一時15%ほど下落した。9000億ハッシュ/秒程度で推移している。暗号資産市場ではハッシュレートが急落し、マイナーのカピチュレーション後に価格が底堅く推移する傾向がある。ここ最近の価格の上昇にも影響を及ぼしていると考えられる。

2.取引所保のETH推移

出所:glassnode.comより作成 1時間足
  • 取引所保有ETHは潜在的なユーザーの売り圧力を示している。長期で見ると下落傾向にあるが、5月からは小幅に上昇している。現在は21万ETH程度で推移している。価格は5月記録した高値近辺で推移しており、上値が重くなることが予想される。一方、取引所保有ETHが足元の安値である20.5万ETHを今後下回るようなら、5月の価格の高値を超えていく展開が期待される。

3.含み益アドレス割合

出所:glassnode.comより作成 1時間足
  • 含み益アドレス割合は相場環境の悪化が影響し大幅に下落した。7月には一時50%を僅かに下回った。価格は昨年の最高値76万円から67%ほど下落している影響から多くの投資家が損切りしたと見られる。足元では価格が20万円台を回復したため、含み益アドレス割合は58%まで上昇している。含み益アドレス割合の推移を見る限りは、短期の投資家はすでにETHを売ったと考えられ、これ以上の価格の下落は相当なパニック相場が来ない限り長期投資家からの売りを引き出すのは難しいだろう。

4.Defiロック金額

出所:glassnode.comより作成 1時間足
  • スマートコントラクト上でDefi系アプリケショーンにロックされている金額は下落傾向が続いている。昨年12月には最高値となる2500万ドル相当のイーサリアムがロックされていたが、現在は900万ドル程度で推移している。現在のロック金額は2021年4月の水準だ。2021年にイーサリアム価格が大きく上昇した背景には、Defiを活用したロックにより供給量が制限されたことが影響している。価格との相関性がかなり高い同指標だが、6月以降は底堅く推移している。今後ロック金額が上昇するようなら、再度供給に制限がかかりイーサリアム価格を押し上げる要因になるだろう。

まとめ

  • イーサリアムの価格は6月の底値から約90%上昇しており、強い反発を見せている。一方、足元の上値抵抗により短期的な利益確定の売りも予想される。
  • デリバティブ市場ではファンディングレートは低く、先物取引市場でも多くのロングはまだ積まれていない。投機的な動きは少なく、12万円の間近の底値を割り込む可能性はかなり低い。
  • オンチェーンデータでは取引所保有データは足元で上昇しており、上昇分が解消されないと上値が重い状況が続くだろう。価格推移と相関性が高いDefiロック金額が上昇してくると、価格の上昇圧力になるだろう。
著者
真田雅幸
マーケット・アナリスト

米国の大学で経済学を専攻しお金の流れについて興味を持つ。在学中にビットコインに興味を持ち、bitbankのメディアで寄稿を行う。2015年頃からビットコインのトレードを始め、デリバティブ情報も分析しながらトレードを行う。

米国の大学で経済学を専攻しお金の流れについて興味を持つ。在学中にビットコインに興味を持ち、bitbankのメディアで寄稿を行う。2015年頃からビットコインのトレードを始め、デリバティブ情報も分析しながらトレードを行う。
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