価格が高騰するビットコイン、その資産性に注目が集まる

真田雅幸
2021-03-01
(
Mon
)

資産とは会計学用語の一つでバランスシートの左側の区分を指す。その逆側が負債だ。「資産は会社に帰属し、貨幣を尺度とする評価が可能で、かつ将来的に会社に収益をもたらすことが期待される経済的価値のことをいう。負債とは、企業会計用語で、将来的に、他の経済主体に対して、金銭などの経済的資源を引き渡す義務のこと。」とウィキペディアでは説明されている。


要約すると


資産とは将来的な収入に繋がる経済的価値があるもの。


負債とは将来的な支出に繋がる経済的義務があるもの。


大人になると「投資はした方がいい」とか「資産形成は大事だ」とか「老後には2000万円が必要だ」という言葉を聞くことがある。ようは「将来の支出に繋がる負債を減らし、収入に繋がる資産を持て」ということが言いたいのだろう。


ビットコインは、小さなコミュニティ内で使われるインターネット上にのみ存在するデジタル通貨だった。有名な話だが、最初の取引に使われたのはピザ2枚を購入する際だ。ピザ2枚のために1万ビットコインを支払ったことから通貨としての歴史が始まった。現在の価格である1ビットコイン=約500万円で計算すると、5000億円に上る。勿論、この時点でユーザーはここまでの経済的価値があるものだとは予想だにしなかっただろう。


しかし、最近ではアメリカの株式市場に上場する一流企業がビットコインをバランスシート上の資産の欄に組み込み出していることが話題となっている。電気自動車を製造するテスラ・モーターズ社は2月に入り、米国証券取引委員会(SEC)にビットコインを資産部門に組み入れたことを報告している。このニュースが市場に伝わると、ビットコイン価格は日時で20%近く急騰した。


テスラ社の他にも、年金や保険金を運用する機関投資家がビットコインを購入、または購入を検討しているというニュースが多く見られるようになった。


なぜ彼らはビットコインを購入しているのか?


答えは「ビットコインが将来的に収入を生む資産である」と考えているからだ。


では、ここからはビットコインの資産性について分析していきたい。


キャピタルゲインがもっとも大きな資産性


ビットコインの資産性のコアとなる要素はキャピタルゲインだろう。つまり値上がり益だ。ビットコイン価格は今年に入り最高値を更新しており、一時600万円を突破した。2017年12月に記録した240万円の倍以上になっている。過去最高値を更新するということは過去のどの時点で購入しても、保有し続けていればキャピタルゲインが発生しているということになる。


Bitbank.ccより作成

ビットコインは歴史的に長くても約3年のスパンで最高値を更新している。つまりいつ買っても3年保有していれば利益が出る資産であることは上記のチャートが証明している。ドルコスト平均法のような定期購入していればさらに利益を出すことができる。ようはどれだけ「ガチホ」できるかが利益を出す鍵となる。


ビットコインには「時は金なり」という言葉がしっくりくる。人間の寿命は有限であるため時間はお金に匹敵するほど重要であるということだ。ビットコインは時の経過をお金に変えてくれる資産とも言えるだろう。


とは言え、上記のチャートを見ただけでビットコインをガチホできる人は少ないだろう。そこで単純な需給を使った経済学の観点からビットコイン価格のファンダメンタル分析を行いたい。


ここでは私達が普段使っている法定通貨と呼ばれる紙幣量を需要として扱う。そしてマイニングよって発行されるビットコインの枚数を供給として扱う。


fred.stlouisfed.orgより作成


上記はアメリカ政府が公表している広義の市場に出回るお金の量だ。徐々にではあるが、時が経つにつれて紙幣量の増加ペースが加速していることがわかる。需要の増加が加速していることが示されている。


Bitcoin.it/wiki/より作成


上記はビットコインの供給量を表している。ビットコインの供給量は約4年毎(21万ブロック毎)に供給量が減る。つまり供給の増加ペースは鈍化していく仕組みになっている。


需要と供給どちらも増加しているが、紙幣とビットコインの新規発行ペースには違いがあり、この違いが価格上昇に繋がっていると考えられる。さらにビットコインには特殊なルールがあり、2100万枚以降は新規の供給が止まる。供給量は一定になるが紙幣は刷られ続け需要は増加を続けるため価格はさらに上昇することが予想される。


政府と中央銀行を中心とした計画経済が崩壊するか、ビットコインのブロックチェーンが停止するなどの大きなファンダメンタルの変化がない限りは、この需要と供給の関係性は変わらないだろう。


もう一つ付け加えると、供給量に限りがあり資産性の高いものの価格は上がり続ける。経済活動の一部を半強制的に止めているコロナ渦において世界中の主要株式インデックス銘柄の価格が高値を更新しているのも、コロナ対策で刷られたお金が向かう最終地点が、個人の預金口座ではなく供給量が一定の金融資産だからだ。


デリバティブの拡充により運用がより容易になった


ビットコインの資産性の向上にはデリバティブ商品の拡充の影響も大きい。特に海外の取引所では、先物取引やオプション取引などが早くから提供されておりビットコインの運用手段を増やしている。ボラティリティが高いビットコインだけにデリバティブを活用して運用成績を安定させたいと考える投資家やトレーダーは多い。


以前、取材させてもらった大手金融機関でトレーダーを努めたこともある元衆院議員の藤巻健史さんも先物取引がないと機関投資家などのファンドは暗号資産(仮想通貨)市場へ参入することは難しいと語っていた。


Skew.comより作成


アメリカでは2017年からデリバティブ取引所大手のCMEがビットコインの先物取引市場に参入している。CMEはドルベースの建玉額で世界トップランクに位置している。海外では個人が主に利用するBinanceのようなボーダーレスの取引所からCMEのような機関投資家も利用する取引所が先物取引を提供している。


先物やオプション取引を活用し価格下落へのリスクをヘッジすることが可能になったことは、ビットコインの資産性を大きく引き上げたと言っていいだろう。最近話題になっている投資信託ファンドGrayscale社に大量の資金が流入しているのも、デリバティブ取引が市場に浸透しつつあることが少なからず影響していると考えられる。


仮想通貨トレーダーの間ではもう常識の範囲に入っている、無期限先物取引のファンディングを活用した運用方法も存在する。ボラティリティリスクを抑え安定的なキャッシュ・フローを取りに行くような運用方法だ。


ファンディングレートは無期限先物のロング・ショートポジションの比率によって決められ、暴落時以外は基本的にショートがファンディングを受け取れることが多い。そのため保有している現物ビットコインに対して同額のショートポジションを持つことで値上がり益の可能性を放棄する変わりに比較的安定したキャッシュ・フローを確保できる。

TRDR.ioより作成


上記はBitmexのファンディングレートのチャートだが、多くの場合はポジティブで推移しており、ショートポジションがファンディングを受け取っていることがわかる。


リスクを抑えたまま定期的な収入を得ることができる金融商品の存在は、市場参加者にガチホ以外の運用の選択肢を与えた。今後も優良な金融商品が出るたびにビットコインの資産性を増加させるだろう。


デリバティブを活用した運用には、取引所が破綻するなどのカウンターパーティリスクが常に存在するため、リスクフリーな運用方法ではないことには留意する必要がある。


レンディングサービス市場の立ち上がり


まだ市場は小さいがビットコインのレンディングサービスが徐々に立ち上がっており、界隈での注目度が増している。ユーザーは保有しているビットコインを第三者へ貸し出すことで決められた金利を受け取ることができる。


海外ではBlockFiが有名どころとして知られており、ビットコインの他にもイーサリアムやライトコインの貸し出しを受け付けている。現在、公式サイトによるとビットコインは年利6%で貸付を行うことができる。


日本でもレンディングサービスが存在し、仮想通貨取引所ビットバンクでも「貸して増やす」というサービスを提供している。ユーザーは一定期間の貸付を行い、契約期限の終了とともに金利を報酬として受け取ることができる。他にはCygnosがレンディングサービスを主な事業として行っている。貸出金利や細かいサービスが異なり、レンディング市場でも競争が起こりつつある。


レンディングを利用することのユーザー側のメリットはビットコインの所有権を保持したまま金利を収入として得ることができる点だ。保有しているだけでキャッシュフローを生むサービスの登場によりビットコインの資産性はかなり向上したと言える。


勿論、レンディングサービスの利用にはリスクが存在する。ビットコインは自身で秘密鍵を保有することでもっとも高いセキュリティ能力を発揮する。そのため第三者へ貸し出すということはセキュリティーの低下を意味する。さらに価格変動リスクや貸し倒れリスクも考慮する必要がある。これらのリスクを許容できると判断したユーザーのみレンディングサービスを利用する方がいいだろう。


仮想通貨市場では資産性が高いコインが買われる傾向が強くなっている


現在の仮想通貨相場では資産性が高いコインが買われている傾向にあり、ビットコインの他にも少数ではあるが2017〜2018年の高値を更新しているアルトコインが存在している。


市場では今年に入りDeFiと呼ばれるアプリケーションが注目を集めており、こちらも金利収入の代わりにトークンを入手することで一定期間の間に収入を得ることができるスキームになっている。ユーザーは保有する仮想通貨をブロチェーン上にロックアップすることで、トークンを入手している。


DeFi系アプリケーションの中ではUniswapや Sushiswap、Pancakeなどが話題に上がることが多い。DeFi系アプリケーションはプロトコルとして動いており、サービス利用に必要なイーサリアムやバイナンスコインの需要が高まっている。これらのトークン価格は他のアルトコインと比べ価格の上昇が顕著だ。アプリケーションの発展が資産性の向上に繋がった結果と言える。


仮想通貨に限らず投資を行う上で重要なことが、投資対象の資産性を見抜けるかが成功の鍵となるようだ。


ビットコインはすでに時価総額が100兆円規模となり仮想通貨市場内でも突出した存在となった。多くの投資家に保有されるようになりオルタナティブの金融資産としての地位を確立した。長期的には経済成長やインフレにアジャストした価格の上昇が期待され、将来的なプラスのキャッシュフローを生む資産として認知されていると言えるだろう。

著者
真田雅幸
マーケット・アナリスト

decentralize システムに興味あり。仮想通貨リサーチャー。 大学で経済学を学び仮想通貨にフリーマーケットの可能性を見る。

decentralize システムに興味あり。仮想通貨リサーチャー。 大学で経済学を学び仮想通貨にフリーマーケットの可能性を見る。
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