カリフォルニア州のビットコイン法案「AB 1326」更新、規制対象は「管理権」を持つ事業者のみ

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先日、カリフォルニア州のビットコイン規制法案「AB 1326」のアップデート版が公開された。アップデートされたバージョンでは細かな文言変更が行われているが、その中でも特に目を引くのは、仮想通貨の「交換」を行う事業者が規制対象から外されたことだ。

これは、ビットライセンスでも大きな波紋を呼んだ、仮想通貨事業の事業定義の問題だ。AB 1326の以前のバージョンでは、次のように書かれていた。

”フィアットから仮想通貨、仮想通貨からフィアットまたは他の価値、仮想通貨の一種から仮想通貨の一種、に変換または交換するサービスを提供するもの”
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一見すると、この文言はビットコインの取引所サービスを想定して定義されており、何の問題もないように思える。しかし、対象が分散的な仕組みを持ったビットコインであるため、少々複雑なことになってくる。

例えば、カウンターパーティやカラードコインのような分散型の取引所、あるいはCoinffeineや、マルチシグは、ユーザーの資産を任意で動かすことはできず、管理しているとはいえない。また、サイドチェーンやEnigma、Ethereumのようなスマートコントラクトなどは、ソフトウェアの基板プロトコルとして通貨の交換に近い機能が組み込まれているが、責任主体はプログラムそのものだ。

特に、マルチシグのような機能は、ウォレットサービスがバックアップキーをひとつだけ保有していたとしても、他の2つのキーを保管しない形でシステム構築した場合、顧客の資産を動かすことは不可能なため、所有権が非常に曖昧になってくる。また、マルチシグによるエスクローサービスを分散的な仕組みで行うことに対しても規制を課す場合、誰が資産の所有権を持っているのかを定義することから始める必要があるだろう。

問題なのは、これらのプロトコルも、解釈次第では上記の文言で定義される「仮想通貨事業」に含まれてしまうことだ。これはビットライセンスの草案が公開されて以来、常に議論の的となっていた。

故に、この文言が削除されたのは非常に重要だ。このことが意味するのは、「AB 1326」の規制対象は「顧客のビットコインを”完全”に保管し管理する事業者」のみとなったということだ。言い換えると、「サービスを運営するにあたって、何らかの過失で顧客資産を失ってしまうリスクを持った事業者」が対象となる。

さらに、AB 1326ではビットライセンスとは異なり、アンチマネーロンダリングに関する要項は含まれていない。これは、各州で異なるAML法と二重規制となってしまうことを避けることが狙いだ。

一方、日本においては先月末、FATFの通達によって国内規制が敷かれることが現実味を帯び始めてきている。FATFの目的はAML/CFTを促進することであるが「テロ組織への送金が疑われる場合に当局への報告義務」を課すなど、曖昧さの残る内容になっている。「技術を規制することはできない」という言葉があるように、仮想通貨の発展のために良い落とし所を日本政府が見つけることに期待したい。

California - AB 1326

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