BTC棒上げで9ヶ月ぶり高値に 相場は半減期サイクル再現か

13日〜19日のビットコイン(BTC)対円相場の週足は棒上げとなり、前週比729,543円(24.41%)高の3,718,739円と9ヶ月ぶり高値に終値を付けた。ドル建てでは、終値で28,000ドルを回復した。
世界的金融危機が危惧される中、スイス中銀によるクレディ・スイス(CS)の救済や、米大手11銀行によるファースト・リパブリック・バンク(FRC)への預金支援などで、先週木曜にはリスクオフムードが一時巻き戻り、BTCは300万円台前半で小確りと推移すると、同日に更新された15日時点の米連邦準備制度理事会(FRB)のバランスシート(BS)が、前週比+3000億ドルと拡大していたことが広く伝わり、実質的な量的引き締め(QT)停止が好感され、BTCは300万円台中盤に乗せた。
一方、金融危機への懸念は根強く、金曜の欧米の株式市場では金融株が再び急落。この日はシリコンバレー銀行(SVB)が、米破産法11条(チャプター11)の適用を申請した。これにより、米主要株価3指数は反落したが、BTCは米国債利回りの低下に逆行する格好で上昇し、360万円台に乗せた。
週末には、スイスのUBSグループが、政府の仲介の下でクレディ・スイスを買収すると報道され、相場は一段と上昇した。

質への逃避が進み、米国債利回りや金(ゴールド)が買われる中、先週はBTC相場も上昇した。市場でリスク選好度が萎縮すると売られやすい傾向にあるBTCだが、FRBの流動性供給措置(Bank Term Funding Program、BTFP)によるBS拡大が、今後の流動性吸収ペースを著しく鈍らせる可能性を生むことから、影響値として大きかったと見ている。また、FF金利先物市場が織り込む政策金利の見通しは、SVBの経営破綻前と比べ急速に引き下がり、現状では「3月の25bp利上げ(4.75%→5.0%)、5月は金利据え置き、6月から利下げ開始(5.0%→4.75%)」が大勢の予想となっており、米連邦公開市場委員会(FOMC)の政策方針転換期待がBTC相場の支えとなっている。

第2図:米政策金利誘導目標レンジ上限(紫)、12月FOMCの政策金利見通し(赤)、FF金利先物市場の大勢の政策金利見通し 出所:FREDより作成
米銀行システムの脆弱性露呈により、FOMCは積極的な金融引き締めにブレーキを掛けざるを得ない状況であると言える一方、インフレは目標の2%からほど遠い高さを維持しており、今週21日〜22日の会合でどういった方針を打ち出すかが注目される。今週の会合後には、参加者の年末時点の政策金利、インフレ、GDP成長率等の着地見通しをまとめた経済見通し要旨(Summary of Economic Projection、SEP)も発表されることから、市場の政策金利見通しとSEPに乖離があれば、市場見通しに修正が入る過程でBTC相場も動く可能性が指摘される。
インフレ抑制というこれまでのFRBの第一優先事項も、現状では銀行破綻の連鎖を止めることにシフトしていると指摘される。米銀行が先週末にFRBが設立したBTFPを駆使して既に119億ドル(1.5兆円)もの資金を注入したことで、セーフティーネットが存分に機能し始めている一方で、タカ派的なサプライズを与えることによって市場の金融危機への懸念を再燃させ、金融株の更なる下落や米中小銀行からの預金引き出しを加速させないためにも、どちらかと言えば今回のFOMCは相当に慎重な姿勢を示すと見ており、BTC相場にとっては支援材料となるか。
さて、BTC対ドルは先週の相場上昇によりついに9ヶ月ほど続いた底値圏からのブレイクアウトに成功した。過去のBTCの半減期サイクルから鑑みても、半減期から1,000日を越えた当たりで相場が底値圏からブレイクアウトしており、今サイクルでも歴史が繰り返すこととなった(第3図)。また、相場は安値圏高値の終値での上抜けに成功しており、ダウ理論の観点から相場の上昇トレンド入りが指摘され、BTCはアキュミュレーション・フェーズからパティシペーション・フェーズに移行した可能性がある。
これらはダウ理論で定義される相場トレンドのフェーズ(段階)で、パティシペーション・フェーズでは相場に流れが出たことでテクニカルトレーダーが市場に参入し、相場を下支えするとされている。実際、BTCは一目均衡表の三役好転を示現し、ボリンジャーバンドでは上昇バンドウォークの最中と、テクニカル的には強気相場が示唆されており、今週も確りとした推移が見込まれる。





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bitbank Report 2023/03/20:BTC棒上げで9ヶ月ぶり高値に 相場は半減期サイクル再現か
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