SVBへの懸念後退でBTC急反発 もう安心できるのか?

6日〜12日のビットコイン(BTC)対円相場の週足終値は、前週比67,869円(2.22%)安の2,989,196円と3週続落。ただ、週足終値は、週安値の2,671,097円から11.91%も反発しており、長い下ヒゲを付けた。
シリコンバレーバンク(SIVB、以後SVB)の有価証券売却に端を発する米銀行業界への影響波及懸念や、NY司法長官(NYAG)事務局によるKuCoinの提訴で、300万円周辺から下げ足を速めたBTCは、10日東京時間に270万円で下げ渋ると、2月の米雇用統計の結果を受けて一時は反発した。一方、この日はカリフォルニア州金融保護イノベーション局がSVBを閉鎖し、同社が連邦預金保険公社(FDIC)の管轄下に置かれ経営破綻となると、SVBに準備金の一部を保管していたサークルのUSDCがデペグし始めた他、米金融セクターへの影響を懸念して米株市場が前日に続き下落し、BTCは上値を抑えられた。
その後、SVBの破綻が局地的な影響で済むとの思惑もあり、11日のBTC相場は自律反発の様相で280万円を一時回復するも、サークルがSVBで保有する約400億ドルUSDCの準備金の内、33億ドルが引き出し不可になっていると伝わると、BTCは反落した。幸い、ドル建てで節目の20,000ドル(≒269.4万円)で相場は下げ止まり、USDCのデペグが徐々に回復すると270万円台後半に戻した。
今朝方には、シグネチャーバンクもNY金融当局に業務停止を命じられたが、イエレン米財務長官がSVB破綻の影響波及に否定的な姿勢を示し、FDICによる同社の買収案を視野に入れていることを発表すると、BTC相場は急反発。さらに、米財務省(MoF)と米連邦準備制度理事会(FRB)が共同声明を発表し、SVBにある預金が完全に保護されることを発表し、シグネチャーバンクにも類似した特例を適用すると明かされると、相場は300万円にワンタッチした。

SVBの預金が保護された事による安心感でリスク選好度が急速に回復している。また、本件を巡り、米地銀の経営には引き続き懸念が燻っているが、市場ではFRBがこれ以上、積極的な利上げを敢行するのは難しいとの観測も台頭している。こうしたことを受けて、米国債利回りは9日から10日にかけて急低下し、3月米連邦公開市場委員会(FOMC)での50ベーシスポイント(bp)利上げ織り込みは、40%から11%にまで後退した。
一方、暗号資産(仮想通貨)には不利となり得る2024年の米予算案や、ETHが有価証券か否かを巡る議論、更にはシルバーゲートバンクとシグネチャーバンクの閉鎖は、この先、米国を中心に仮想通貨事業に相当な向かい風となる可能性を否定できない。現状では主要交換業者から事業継続に支障が出ているとの発表は確認されず、目先ではリスクオフの巻き戻しからBTCは底堅い展開が見込まれるが、依然として緊張感を緩めるには時期尚早と言えよう。
BTC対ドルは200日移動平均線で反発し、本日は既に先週割り込んだ上昇トレンドラインを回復して昨年9月高値にタッチしているが、シカゴマーカンタイル取引所(CME)のBTC先物はおよそ20,300ドルから21,300ドルの間に大きな窓を開けて今週の取引を開始した。窓埋めは即座に達成されるとは限らないが、先週の相場は1月におよそ20,000ドルと21,000ドルの間に開けた窓を2ヶ月越しに埋めに行っており、チャートの観点からも懸念が残る動きとなっている。
明日からは2月の米消費者物価指数(CPI)と生産者物価指数(PPI)の発表も控えており、足元の25bp利上げ観測にどう影響するかもしっかりと見極めたい。
尚、今週から米国がサマータイムに移行することから、本邦では米経済指標の発表時間が先週から1時間前倒しとなることに注意したい。





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