BTC急落も下げ一服感 トレンドライン死守できるか重要な局面

2月27日〜3月5日のビットコイン(BTC)対円相場の週足終値は、前週比159,657円(4.96%)安の3,057,065円と2週続落した。
320万円を挟み込み揉み合いが続いていた先週のBTC相場だったが、米銀行持株会社シルバーゲート・キャピタルが1日、米証券取引委員会(SEC)への年次報告書(Form 10-k)提出延期を申請したことを契機に、コインベース、パクソス、ギャラクシー・デジタルと言った名立たる暗号資産(仮想通貨)関連企業が同社との提携関係を解消、或いは縮小を次々と発表すると、3日東京時間にBTC相場は一段安を演じ、320万円から302万円まで急落した。
仮想通貨関連企業や投資家の仮想通貨預金を預かってきたシルバーゲート傘下のシルバーゲート銀行だが、FTXとの取引があったことで、同取引所の破産後に引き出しが殺到し、22年第四・四半期には約10億ドルもの損失を計上した。そうした状況で提出されたForm 10-k提出延期申請書には、行政からの規制や調査に関する分析に対応している最中であることが記されていた上、今年1月から2月にかけての追加債権売却で生まれた損失が、シルバーゲート銀行の資本比率を悪化させる可能性を指摘しており、市場では同行の破産懸念が台頭した。
これにより、同社の株価(SI)は1日の時間外取引で急落し、週次では59.73%と暴落。2日時点ではBTC相場に影響はなかったが、2日米時間に数々の関連企業が同社との提携関係解消を発表すると、翌3日の東京時間に急落した。

幸いなことに、3日に米供給管理協会(ISM)が発表した2月の米サービス業同行調査レポートでは、PMIと支払価格指数が前月から僅かに低下した。また、景気やインフレの粘り強さを示す昨今の指標が一時的か否かを見極めようとするムードがこの日の米国債利回りを押し下げ、株価を押し上げた。BTC相場はサービス業PMI通過後に反発に失敗したものの、22,200ドル(≒301.7万円)近辺で下げ止まり、週末も同水準で底堅く推移した。
5日には、一時戻りを試す場面もあったが、22,000ドル台後半で上値を抑えられ反落。足元では22,000ドル中盤(≒300万円台中盤)で推移している。
目先のBTC相場は手控えムードで小動きとなるか。先週末の米株市場はリスクオンムードが広がったが、シルバーゲート動向を巡り同行と取引のあった企業の運営にも懸念が燻るほか、7日から2日間にかけてパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の議会証言、更には2月の米雇用統計が10日に控えており、積極的にリスクを取りに行ける状況ではないと指摘される。ただ、BTC対ドルは1月18日安値と2月13日安値を基点とする上昇トレンドラインで下げ止まっており、足元では下げ一服感もうかがえる(第2図)。
また、先週までは3月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げ幅拡大を織り込む動きが徐々に台頭していたが、アトランタ地区連銀のボスティック総裁が25ベーシスポイント(bp)の利上げを支持したことで、こうした懸念がやや後退した。ISMのサービス業PMIも株式市場の味方となり、パウエル議長から2月のインフレ指標上振れが一時的である可能性について発言があれば、BTCも戻りを試す余地があると見ている。その場合、チャート上では第2図内の黄点線のような三尊天井の形成も視野に入るが、一旦は節目の24,000ドル(≒326万円)周辺が上値目途となるか。
ただ、相場が上昇トレンドラインの維持に失敗すれば、2月中旬の上げ幅を解消し、2月安値と昨年11月高値が密集する、21,400ドル(≒291万円)周辺の水準を試す展開も視野に入るため、シルバーゲート絡みの追加材料や経済イベントには引き続き注意しておきたい。





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bitbank Report 2022/03/06:BTC急落も下げ一服感 トレンドライン死守できるか重要な局面
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