混乱の中BTCは底堅く推移 BEIの逆転解消に注目

長谷川友哉
2022-09-26
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Mon
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19日〜25日のビットコイン(BTC)対円相場の週足終値は、前週比74,567円(2.69%)安の2,700,652円と2週続落。対ドルでは今年初めて節目の19,000ドル(≒273万円)を週足終値で割り込んだ。

23日から本邦が3連休に入る中、BTC相場は、米Rippleが米証券取引委員会(SEC)との裁判で勝訴するとの見込みからXRP相場の上昇に支えられる格好で、260万円台を維持し底堅い推移となった。一方、英トラス新政権の減税策発表を受けた同国の株、為替、債券のトリプル安でリスクオフが波及したことや、米マイニング企業Compute Northの破産申請を受け、BTC相場は上値を抑えられ、280万円回復には至らなかった。

ただ、先週は米連邦公開市場委員会(FOMC)への警戒感や、会合での年末と来年末の政策金利着地予想が大幅に引き上げられたことで米主要3指数が安値を広げる展開となったが、BTC相場はレンジでの推移に終始。この他にも、ロシアの部分的動員令、日銀の為替介入、英トリプル安、米逆イールド大幅拡大とアブノーマルな事象が立て続けに起こり市場が混乱する中、BTC相場は落ち着きを見せている。もっとも、景気後退に陥っても物価上昇に歯止めを掛けようとする動きが世界的に加速する中で無国籍通貨への需要が高まっているとは、相場の動きから鑑みても言い難く、どちらかと言えばリスクマネーがある程度抜けて市場が閑散しているという線が濃厚と指摘される。

ビットコインチャート
第1図:BTC対円チャート 1時間足 出所:bitbank.ccより作成
ビットコイン概況
第1表:BTC概況 出所:bitbank.cc、Glassnode、coingeckoより作成

中銀ウィークを通過した市場だが、今週はそれをフォローアップするように日米英欧の中銀関係者のスピーチが数多く予定されている他、主要欧州諸国のインフレ率と米個人消費支出(PCE)の発表を控えており、市場にとってまだ一段落とはならなそうだ。本邦を除いては、基本的にタカ派的な金融政策を貫き通すことが見込まれ、市場の織り込みも進んでいると指摘されるが、8月米消費者物価指数が市場予想を上回ったように物価統計の上振れには注意したい。特に米PCEはFOMCが注目していることに加え、ダラス連銀のトリム平均PCEインフレ率の算出にも用いられるため、米国のインフレトレンドを捉える重要な指標である。

一方、世界的景気後退への懸念による需要減を織り込み原油価格が低下しており、WTI相場は年初の水準まで押している。これを受けて、米国のブレークイーブンインフレ率(市場の期待インフレ、BEI)も低下しており、5年物と10年物BEIの逆転が解消間近となっている。BEIは国債利回り(名目金利)と同じ年限の物価連動債利回り(実質金利)の差で算出され、通常では年限が先の国債から算出されたBEIの水準が高くなるが、2021年から5年物と10年物が逆転している。これは、長期より目先の物価上昇率が高くなることが市場で織り込まれていることを示唆するが、今年3月からの米連邦準備制度理事会(FRB)の金融引き締めに対する積極姿勢と原油価格の低下により、正常な状態に回帰しようとしている。勿論、実際の物価統計は依然として歴史的に高い水準で推移しているが、FRBが市場のインフレ期待も考慮していることや、逆転差が拡大した3月に政策方針を一層タカ派に傾けたことに鑑みれば、長短BEI逆転の解消は政策舵取りにおいて注目していても損はないだろう。

米ブレークイーブンインフレ率
第2図:米ブレークイーブンインフレ率チャート(5年物、10年物) 出所:FREDより作成

他方、Compute Northの破産を受けてもビットコイン・ネットワークの堅牢性は健在だ。ハッシュレートは短期移動平均が下向いたが、依然として200Ehash/s以上の水準を保っており、マイナーのアドレスから異常な動きは確認されない。BTC相場の低迷でマイニングの収益性は悪化した筈だが、マイナーは相場復調後の売り抜けを狙っているということか。また、予てから指摘の通り、流通するBTCの含み益割合も売られ過ぎ水準とされる50%を割っており、レンジ下抜けの場合は押し目買いが入りやすいと指摘される。

依然として積極的にリスクを取りに行く市況やムードではないが、今週もBTC相場は上値が重くも底堅い推移で大底形成を継続する展開を想定している。

ビットコイン,先物資金調達率,ハッシュレート,ディフィカルティ
第3図:BTC対円、先物資金調達率、ハッシュレートとディフィカルティチャート 日次 出所:bitbank.cc、Glassnodeより作成
ビットコインテクニカル分析
第4図:BTC対円チャート 日足 出所:bitbank.cc、Glassnodeより作成
アルトコイン概況
第2表:アルトコイン概況 出所:bitbank.ccより作成

PDFリンク
bitbank Report 2022/09/26:混乱の中BTCは底堅く推移 BEIの逆転解消に注目

著者
長谷川友哉
マーケット・アナリスト

英大学院修了後、金融機関出身者からなるベンチャーでFinTech業界と仮想通貨市場のアナリストとして従事。2019年よりビットバンク株式会社にてマーケットアナリスト。国内主要金融メディアへのコメント提供、海外メディアへの寄稿実績多数。

英大学院修了後、金融機関出身者からなるベンチャーでFinTech業界と仮想通貨市場のアナリストとして従事。2019年よりビットバンク株式会社にてマーケットアナリスト。国内主要金融メディアへのコメント提供、海外メディアへの寄稿実績多数。
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