雇用統計サプライズに耐えたBTC 相場は重要な節目の回復をうかがう

長谷川友哉
2022-12-05
(
Mon
)

11月28日〜12月4日のビットコイン(BTC)対円相場の週足終値は、前週比4,432円(0.19%)高の2,307,994円とほぼ変わらず。対ドルでは週足終値で節目の17,000ドル(≒228万円)を回復した。

11月の米雇用統計発表前日に発表された米失業保険の新規申請件数が、市場予想を大きく下回ったことで、BTC相場は警戒から失速し、米株の軟化に連れ安で230万円中盤から229万円周辺まで押したが、17,000ドル水準周辺で下げ渋った。注目の雇用統計では、失業保険が横ばいとなった一方、非農業部門雇用者数と平均時給が市場予想を上回り、BTC対ドルは一時急落するも、外国為替市場でドル円相場が急上昇したことにより、BTC対円は230万円周辺で揉み合いとなった。

ただ、雇用統計サプライズでリスクオフムードが加速した一方、直後にシカゴ連銀のエバンス総裁が利上げペースを減速させる可能性が高いと発言したことで、米国債金利低下、ドル円相場反落、米株反発となり、BTC対ドルは下げ幅を奪回。ドル円相場の反落でBTC対円はやや上値を重くしたが、下げ幅は限定的だった。

週末の相場は、雇用統計を消化するかの如く上値を重くし、Bybitの従業員削減の報も材料視されたが、対ドルで節目の水準周辺で底堅さを発揮し、BTCは230万円近辺で上値が重くも底堅い推移に終始した。

ビットコインチャート
第1図:BTC対円チャート 1時間足 出所:bitbank.ccより作成
ビットコイン概況
第1表:BTC概況 出所:bitbank.cc、Glassnode、coingeckoより作成

雇用統計を除いては、個人消費支出(PCE)低下や、米供給管理協会(ISM)の製造業購買担当者景気指数の下振れと、先週の米経済指標は米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げペース減速を正当化する内容と言えた上、米国債利回りや実質金利、引いてはドル指数が低下した割にBTC相場の上げ幅は極めて限定的だった。

雇用統計への懸念や、その結果の消化で上値を圧迫された側面もあるが、先週は週後半からS&P500種がテクニカル的な節目で上値を重くしたことも、BTC相場に影響した可能性があると指摘される。S&P500種は11月30日に、パウエルFRB議長の発言を受けて上値を伸ばし、今年の4月ぶりに終値で200日移動平均線を回復した。しかし、翌12月1日に1月高値と3月高値を基点とする長期下降トレンドラインにワンタッチして失速した(第2図)。同トレンドラインの上抜けに成功すれば、S&P500種はテクニカル的に下降トレンド脱却となり、節目の水準で足踏みとなりやすかったと言えよう。

S&P500種チャート
第2図:S&P500種チャート 日足 出所:finance.yahoo.comより作成

物価上昇の種となる平均時給上昇のペースは加速したものの、10月の米PCEは6.3%から6.0%に低下した。加えて、8、9月と横ばいが続いたトリム平均PCEインフレ率(PCEから変動率の激しい項目を差し引いたインフレ指標)も4.75%から4.68%に低下し、幅広い項目で物価上昇ペースが鈍化したことが示されている。同指標はノイズが少なく、物価上昇率の中長期的なトレンドを示し、PCE実数値や消費者物価指数(CPI)が頭打ちとなった6月以降も上昇していたが、10月に今年初めて減速した(第3図)。

12月の米連邦公開市場(FOMC)に関しては、市場では政策金利の50ベーシスポイント(bp)引き上げが織り込まれているが、仮に75bp引き上げとなっても、政策金利がトリム平均PCEインフレ率を上回ることでFOMC参加者の利上げペースに対する慎重論が強くなることが想定される。よって、先週の雇用統計は市場の利上げペース減速期待に水を差す結果ではあったが、実際のインフレ指標の推移から鑑みて、利上げ幅縮小の大幅な後ろ倒しやターミナルレートの大幅な引き上げは想定し難いと言える。

各種米インフレ指標
第3図:各種米インフレ指標チャート 出所:FREDより作成

他方、FTXショック後に低下基調にあったビットコインのハッシュレートは先週、下げ止まりから反転しており、マイナーから取引所へのBTC送金量も落ち着き始めた。BTCの対ドルは、足元、FTXショックが起きた8日安値の17,500ドル(≒235.1万円)回復を伺っており、6月のセルシウスショックで付けた安値の17,565ドルも射程圏内に入っていると言える。これらの水準の回復に成功すれば、テクニカル的なセンチメントの回復が期待されることに加え、ショートポジションの巻き戻しで相場が走る展開も視野に入る。

今週はFOMC前のブラックアウト期間となることから、市場が様子見ムードになりやすいと言えるが、こうしたチャート上の節目での動きには注目しておきたい。

ビットコインチャート2
第4図:BTC対円、先物資金調達率、ハッシュレートとディフィカルティチャート 日次 出所:bitbank.cc、Glassnodeより作成
ビットコインテクニカル分析
第5図:BTC対円チャート 日足 出所:bitbank.cc、Glassnodeより作成
アルトコイン概況
第2表:アルトコイン概況 出所:bitbank.ccより作成

PDFリンク
bitbank Report 2022/12/05:雇用統計サプライズに耐えたBTC 相場は重要な節目の回復をうかがう

著者
長谷川友哉
マーケット・アナリスト

英大学院修了後、金融機関出身者からなるベンチャーでFinTech業界と仮想通貨市場のアナリストとして従事。2019年よりビットバンク株式会社にてマーケットアナリスト。国内主要金融メディアへのコメント提供、海外メディアへの寄稿実績多数。

英大学院修了後、金融機関出身者からなるベンチャーでFinTech業界と仮想通貨市場のアナリストとして従事。2019年よりビットバンク株式会社にてマーケットアナリスト。国内主要金融メディアへのコメント提供、海外メディアへの寄稿実績多数。
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