BTC対ドルは9週続落 なぜ米株の反発についていけない?

長谷川友哉
2022-05-30
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Mon
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先週(23日〜29日)のビットコイン(BTC)対円相場の週足終値は、前週比123,914円(3.20%)安の3,749,801円と5週続落。BTCの対ドル相場は9週続落し更に記録を伸ばした。

ビットコイン・ピザデーの祝賀ムードの影響もあってか、先週末のBTC相場は380万円を回復し、週明けもジリ高を演じ390万円にタッチしたが、テクニカル的に下降パターンとなる上昇ウェッジを形成すると綺麗にウェッジ下抜け隣370万円付近まで反落。これによりシカゴマーケンタイル取引所(CME)のBTC先物が窓埋めを完了し相場は下げ止まったが、Best Buyの業績不振などを受け米国のリセッション懸念が加速すると370万円を割り込んだ。

しかし、対ドルで前年安値となる28,800ドル(≒366万円)周辺で押し目買いが入り反発すると、週央のアジア株式市場の反発も相まって380万円近辺まで戻した。注目された5月米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨では、追加のタカ派サプライズもなければ目星い材料もなく、「今後数回の会合で50ベーシスポイント(bp)の利上げ」が確認されただけで、BTC相場は30,000ドル(≒381万円)で上値を抑えられ微妙な反応に終わった。

すると、週後半からは人気アプリSTEPNのガバナンストークン、GMT主導と思われるアルトコインの売りがBTCにも波及し相場は反落。一時は対ドル前年安値を割り込む場面もあったが、幸いなことにこの日決算を発表したDollar General、Dollar Tree、Macy'sが揃って業績見通しを引き上げたことで、米小売業界に対する懸念が後退し株価が大幅に続伸、BTCも米株高につれて反発した。ただ、アルトコイン市場はその後も上値の重い展開が続き、BTCも再び370万円を割り込んだ。27日米市場寄付き前には、4月の個人消費支出(PCE)が前月の6.6%から6.3%に低下。インフレがピークに達し、米連邦準備制度理事会(FRB)が政策引き締めペースをこれ以上速めないとの思惑から、相場は一時370万円を回復したが、やはりアルトの下げに連れ安となり、この日は対ドルの前年安値を終値で僅かに下回った。

一方、週末の暗号資産(仮想通貨)市場ではあるとの売りが一巡。下げを主導したGMT相場も切り返し、BTCは370万円を回復している。

ビットコインチャート
第1図:BTC対円チャート 1分足 出所:bitbank.ccより作成
ビットコイン概況
第1表:BTC概況 出所:bitbank.cc、Glassnode、coingeckoより作成

イーサリアム(ETH)やソラナ(SOL)と比較すればBTC相場は底堅く推移している。ハッシュレートも一時は低下基調にあったが、足元では短期移動平均線が中期移動平均線の上抜け寸前となっており、採掘難易度低下により少しは需給バランスが改善したか(第3図)。勿論、相場水準が改善しなければイタチごっこが続くことが予想されるが、一旦は実需売りの後退が期待できそうだ。ただ、先週同様、CMEのBTC先物はギャップアップして今週の取引を開始しており、対ドルで前年安値水準となる366万円まで相場が押してもおかしくはない。一見するとアルトが全面高で市場のムードが復調しているようにも見えるが、依然として綾戻しの可能性は排除できない。特にアルトコインの代表格であるETH相場は保ち合い下放れとなっており、下降トレンドが再開した可能性も指摘される。

こうした中、BTCの先物市場では取組高が増加する一方で資金調達率(Funding Rate)のプラス圏推移が続いている(第2図)。資金調達率は市場の需給関係を示す指標として使われ、足元ではロングポジションが積み上がっていることが示唆されているが、相場の下落局面において買い持ち高の増加は一概に相場にプラスと言えない。これは戻り売りが発生した際にロングの巻き戻しによる潜在的な売り圧力が蓄積されていることとなり、相場急落の原因となりやすい。

また、相場の下落トレンドが反転する際は市場が諦めムードになり売り持ち高の増加で資金調達率は大きくマイナスに振れる傾向があり、足元の状況では市場が依然総悲観になってないことも示唆されている。

ビットコイン、先物新調達率、取組高
第2図:BTC対円、先物資金調達率、取組高 日次 出所:bitbank.cc、Glassnodeより作成

他方、マクロの側面では、4月で米国の消費者物価指数(CPI)、卸売物価指数(PPI)、個人消費支出(PCE)と代表的なインフレ指標が頭打ちの兆候を見せ、政策引き締めペース加速の公算は幾分低くなったと言えよう。70年代の米国のインフレ局面では、CPIの頭打ちが株式市場の大底となっていた経緯もあり、リスク選好度は先週後半から急速に改善した。先週は懸念されていた小売の決算も想定外に強い結果となり、週後半の米株市場ではリスクオフの巻き戻しが起きた格好だ。

今週は米国の製造業PMIとISM製造業景気指数が6月1日に発表され、3日には雇用統計が控えており、市場への影響度が高い指標の発表が続く。雇用統計では失業率の3.6%から3.5%への改善が予想されているが、3月中旬から新規失業保険申請件数は2020年以降で初めて右肩上がりとなっている上、月間の解雇者数も4月で底入れの兆しが見られており、失業率悪化によるネガティブサプライズの可能性には少し注意したい(第3図)。

米株はインフレ頭打ちによる底入れの可能性も浮上してきたが、BTC相場はこうしたマクロ動向と噛み合っていない印象もある。これも上述のアルト相場の不調が要因として挙げられる。直近で仮想通貨市場が総悲観になったサインが出ていれば、マクロ環境を鑑みてもう少し自信を持って底入れを指摘できるが、やはり足元の相場の底堅さは今一つ信用できない。引き続き、32,000ドルを回復するまでは下値へのリスクを警戒したい。

新規失業保険申請件数
第3図:米新規失業保険申請件数 週次 出所:FREDより作成
ビットコイン、ハッシュレート、先物資金調達率
第4図:BTC対円、先物資金調達率、ハッシュレートとディフィカルティチャート 日次 出所:bitbank.cc、Glassnodeより作成
ビットコインテクニカル分析
第5図:BTC対円チャート 日足 出所:bitbank.cc、Glassnodeより作成
アルトコイン概況
第2表:アルトコイン概況 出所:bitbank.ccより作成

PDFリンク
bitbank Report 2022/05/30:BTC対ドルは9週続落 なぜ米株の反発についていけない?

著者
長谷川友哉
マーケット・アナリスト

英大学院修了後、金融機関出身者からなるベンチャーでFinTech業界と仮想通貨市場のアナリストとして従事。2019年よりビットバンク株式会社にてマーケットアナリスト。国内主要金融メディアへのコメント提供、海外メディアへの寄稿実績多数。

英大学院修了後、金融機関出身者からなるベンチャーでFinTech業界と仮想通貨市場のアナリストとして従事。2019年よりビットバンク株式会社にてマーケットアナリスト。国内主要金融メディアへのコメント提供、海外メディアへの寄稿実績多数。
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