悪材料複数も底堅いBTC ボラティリティーは再び低水準へ

10月第1週のビットコイン(BTC)対円相場の週足終値は、前週比12,540円(1.1%)安の1,126,839円と2週続落(第2図)。先週は金先中心限月12月物が反発し節目の1,900ドルを清算値で回復したが、57.7億円相当のOKExへの大口BTC送金やビットメックスに対する米商品先物取引委員会(CFTC)の告訴の報で市場センチメントが悪化。さらにはトランプ米大統領が2日、自身が新型コロナに感染したと発表したことで株式市場も荒れ模様となったこともBTCの売材料となり、相場は一時110万円を割り込んだ。
しかし、こうした中でも先週は匿名系アルトコインが買われたことで、BTCも下げ幅は限定的となり、週足では安値の切り上げに成功。加えて、リップル社主催の年次イベントSWELLが来週(14日〜15日)に迫り、XRPが週末に切り返したことで、BTCも週末に下げ幅を縮小していった。


デジタルゴールドとも称されるBTCだが、高リスクアセットという反面も持つことから米株の急落にはつられやすい性質があり、株価のトランプコロナ下げには耐えられなかった訳だが、トランプ氏の容態は安定しており本日にも退院予定と報じられている。これにより株式市場も今週は落ち着きを取り戻すと期待できる上、ペロシ米下院議長はトランプ氏のコロナ感染が、経済対策案を巡る協議を前に進める切っ掛けとなると発言しており、リスク選好の回復も見込めるか。
また、先週は複数悪材料がでた影響で相場が動いたが、相場変動の激しさを示すヒストリカルボラティリティー(HV)の10日物と30日物は、記録的な低ボラティリティーを記録した今年7月の水準に迫って来ており、短中期的には相場の動きが落ち着いていることが示唆されている(第3図)。こうした状況では、目星い材料がないと6月〜7月のように様子見ムードが継続する可能性もあるが、裏を返せばもうじき相場が大きく動き出すサインとも言える。米大統領選を巡り先行き不透明感は払拭されないが、経済対策の協議に進展が見られれば暗号資産(仮想通貨)市場でもリスクオンの切っ掛けとなりそうだ。


テクニカル的には、BTC相場は先週週明け時点と比べて「中立→やや強気」に傾き出したと指摘される。足元では、短中長期の移動平均線が収斂し、ボリンジャーバンドもスクイーズしており、次のトレンドが始まる準備段階と言えよう。一方、一目均衡表では強い「売りシグナル」となる三役逆転が解消され、均衡表と遅行スパンが好転しており早期の「買いシグナル」が2つ点灯している。今週7日には雲の捻れも発生しており、この日を前後にトレンドが発生する可能性も指摘される。





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bitbank Report 2020/10/05:悪材料複数も底堅いBTC ボラティリティーは再び低水準へ