エドワード・スノーデンが考えるブロックチェーンの価値とは

真田雅幸
2018-11-26
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Mon
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元アメリカ国家安全保障局職員のエドワード・スノーデン氏は、嘘が蔓延するインターネット社会において、真実を検証することができるブロックチェーンに有用性があると考えている。American Civil Liberties Union(ACLU)のインタビュー内でビットコインやブロックチェーンについて語った。

「ブロックチェーンはデータベースの一種で、データが検証可能なアカウンティングシステムだ。顧客は銀行口座にある数字を検証することができず、銀行が実際に資金を保有していることを信用する必要がある。しかしブロックチェーンは第三者を信用する必要がないトラストレスなデータベースだ」

データのブロックがチェーン状に連なり、過去に追加されたデータほど改ざんが困難になるのがブロックチェーンの仕組みだ。ブロックの追加にはデータのハッシュ値を求める必要があり、数学的にブロックが繋がれていきチェーンが構築される。

同じデータからハッシュ値を求めると必ず同じ値になるが、少しでもデータを変更すると異なるハッシュ値が算出される。元データを少しでも変更するとハッシュ値が変わるため、改ざんしたデータのブロックをブロックチェーンに繋げることはできない。

金融取引、ウェブサイトのリンク、医療記録のようなデータはブロックチェーン上に記録することで検証が可能な情報とすることができる。ブロックチェーンの有用性はユーザーがデータを検証できる点で、第三者への信用の強制を排除することにあるとスノーデン氏は考えている。

「既存の金融機関のサービスは早く、安く、簡単だ。しかし、ユーザーは運営者を信用する必要があり、内部的なオペレーションを監視する術を持たない。ブロックチェーンは効率性と引き換えに、信用を必要としないトラストレスなシステムを構築する。VISAやMaster Cardは一秒間に数万の取引処理を行うことができる一方で、ビットコインは1秒間に7取引ほどだ。しかし将来的にブロックチェーン技術が発展すれば、取引処理のスピードは飛躍的に伸びるだろう」

現在ブロックチェーンを活用したアプリケーションは多く存在するが、第三者への信用問題を解決することや、取引が第三者によって差し止められることがないという点において、お金が最も有効なアプリケーションであるとスノーデン氏は考えている。

ビットコインは銀行を介さず取引を行いたい人や銀行口座を持たない人によって価値が見出される可能性がある。世界には銀行口座を持たない人が多く存在し、口座開設に必要な資格を持っていない場合もある。

銀行自体の信用が低い地域に住んでいる人もいる。2013年のキプロスでは顧客の預金が凍結され銀行の借金返済に充てられた。また、ベネズエラやジンバブエのように金融政策の失敗が通貨をインフレさせ、購買力を低下させるといった事態も世界では起きている。

お金には価値の貯蔵手段と交換媒体としての機能が必要で、人の合意形成によって選ばれてきた。人類の長い歴史の中で金(ゴールド)がお金として使われてきたのは、人々がその希少性と有用性に価値を見出していたからだ。スノーデン氏は、法定通貨はそのシステムを管理する政府が持つ軍事力によって流通経路が確保されたもので、それ自体に価値はないと指摘している。

「ビットコインのファンダメンタルズとしての価値は実は多くない。トークンがブロックチェーン上に記録され、ユーザーが取引を検証することができるといった程度だ。しかし希少性に価値があり、2100万BTCより多く発行されることがない。ビットコインを生成するには多くのリソースが要求されるマイニングが必要だ。そのためマイニング機器や電力がビットコインの価値の根源となっている」

スノーデン氏は、プルーフ・オブ・ワーク(PoW)やプルーフ・オブ・ステーク(PoS)といったコンセンサスアルゴリズムには問題があるとし、別のシステムが必要だと主張する。PoWはマイニングに必要なリソースを確保できる金持ちが有利になり、PoSはリソースを必要とせず金持ちがそのまま報酬を獲得できるため、レントシーキング(法制度・政治政策等を変更し超過利潤を得るための活動)が発生しやすいシステムだと分析している。

ブロックチェーンは非効率でリソースを大量に消費する一方、上手くシステムを構築することができればデータの改ざんが現実的に不可能になる。データの正当性の検証と証明をユーザー個人で行うことができるトラストレスなシステムに価値がある。

「現在、多くの若者がSNSなどで自身の生活を誇張して良く見せたり、検索サイトでは同じワードを使っても異なる検索結果がはじき出されることがある。すべての情報は信用の上に成り立っていると言える。嘘の情報が蔓延しているインターネット社会の中でこそ、信用を必要としないブロックチェーンのトラストレスなシステムには価値があるのかもしれない」

ACLU

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