イーサリアム用マイニングASICの開発企業が新たなアップグレードへの説明を求める

真田雅幸
2019-01-10
(
Thu
)

マイニングASICを開発するLinzhiは、イーサリアムの開発チームがマイニング・アルゴリズムを変更するために提案したProgPOWに関する説明を求めた。ProgPOWはASICを無効化することを目的としたアップグレードだ。

Linzhiは声明文の中で以下のように述べた。

「我々はイーサリアムの開発者チームに対し、ProgPOWに関するルールや条件の公式発表を求める。ProgPOWの実装前に詳細を説明するのが正当なアプローチであることは開発者も同意するだろう」

LinzhiのようなASICメーカーはマイニング・アルゴリズムが変更されるとハードウェアが利用できなくなるため、ProgPOWの実装には反対するインセンティブがある。一方、開発者は今後予定されているPOSへの移行をスムーズにするためにもASICを排除したいと考えている。

イーサリアムは今週、新たなハードフォークである「Constantinople」を控えており、このアップグレードではマイニング報酬が3ETHから2ETHへと変更される。マイナーにとっては不利な状況が続く。

イーサリアムのマイニング・アルゴリズムである「Ethash」はASIC耐性を持っているものの、技術の進歩により、イーサリアムをマイニングするためだけに開発・製造されたASICが昨年から登場している。

イーサリアムの開発ロードマップには初期の段階からPOWからPOSへ移行することが盛り込まれている。しかし、マイナーがASICを開発したことで開発者とマイナーのインセンティブが衝突することになった。

このコミュニティ内の分断はビットコインにもあり、オフチェーン取引を推奨する開発者とオンチェーン取引を推奨するマイナーが衝突している。一部のマイナーは、オフチェーン取引が主流になるとマイニング報酬が減るためこれに反対していた。議論の結果、中国の一部のマイナーが中心となりハードフォークを行いビットコイン・キャッシュが誕生している。

イーサリアムでもコミュニティが分裂することで2つの異なるPOWのブロックチェーンとPOSのブロックチェーンに分かれる可能性は大いにあるが、イーサリアムの場合はビットコインの分裂より問題が複雑だ。イーサリアムのブロックチェーン上にはICOを行ったトークンが記録されているからだ。2つのブロックチェーンに分かれた場合、それぞれのプロジェクトがどちらのブロックチェーンをメインチェーンとするのかは各ICOプロジェクトに委ねられる。

これまで、イーサリアムほど多くの人が関わるブロックチェーンのコンセンサスアルゴリズムが移行した例はない。また、POSがPOWと同等の高いセキュリティを保つことができるかは不明だ。イーサリアムの将来にはいまだ未知なる部分が多く残されている。

Linzhi

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著者
真田雅幸
マーケット・アナリスト

米国の大学で経済学を専攻しお金の流れについて興味を持つ。在学中にビットコインに興味を持ち、bitbankのメディアで寄稿を行う。2015年頃からビットコインのトレードを始め、デリバティブ情報も分析しながらトレードを行う。

米国の大学で経済学を専攻しお金の流れについて興味を持つ。在学中にビットコインに興味を持ち、bitbankのメディアで寄稿を行う。2015年頃からビットコインのトレードを始め、デリバティブ情報も分析しながらトレードを行う。
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