仮想通貨ヘッジファンド、IOTAを評価 「高すぎる」


米テキサス州が本拠地の仮想通貨ヘッジファンドMulticoin Capitalは、IOTAに関する調査報告書を公開し、IOTAは現状では様々なリスクを抱えおり「オーバー・バリュー」であるとの評価を下した。IOTAは現在約2.5ドルで取引されており、時価総額が約68億ドルとなり仮想通貨資産ランキングにおいて11位にランクインしている。同ヘッジファンドは、IOTAのロングポジションもショートポジションも保有していないとのことだ。
IOTAは、あらゆるデバイスがインターネットに繋がるIoT時代を見越したネットワーク構築を目指しているプロジェクトで多くの注目を集めている。またビットコインやイーサリアムのような従来型の仮想通貨に用いられるブロックチェーンを使っていないIOTAは、有向非巡回グラフ(DAG)と呼ばれるグラフ理論をもとに作られた独自のタングル(Tangle)と名付けられた技術を採用している点も新しい。
Tangleは、取引を記録するためのブロックやマイニング作業を行うマイナーも存在せず、取引を行ったユーザーが取引を承認するという新たな方法でネットワークが構築される。
Multicoin Capitalは調査報告書を通じて、IOTAが複数の問題点を抱えていることを指摘している。まず初めに中央集権である点を挙げている。IOTAは最終的にはパブリックな分散型のネットワークを目指すようだが、現在ネットワークはIOTAファンデーションによって開発・管理されている状態だ。Coordinater(Coo)と呼ばれるIOTAのソフトウェアコードも非公開となっている。理論上はIOTAファンデーションがユーザーの資金を自由に操ることもできるようだ。
さらに、いつコードを公開して、パブリックな分散型ネットワークにするかの詳細な日程や計画が公表されていないこともリスクであるとMulticoin Capitalは分析している。過去に2017年の夏に中央集権型から分散型ネットワークに切り替える旨の発表をしていたが、現在もCooが中央集権的に動いている。
異なるリスクとして、将来的にIOTAのネットワークを活用してIoTサービスを受けるためには、専用のハードウェアが必要となる。IOTAファンデーションは、IOTAのネットワークを利用するためには専用ハードウェアでプルーフオブワーク(PoW)をする必要があるとしている。
開発チームはIoTが発達すれば大した問題ではないとコメントしているが、ハードウェアを各家庭に導入することはかなりハードルが高いと予想されている。また調査報告書では、IOTAがIoTのスタンダードネットワークにならない限り、ハードウェアデバイスを供給する企業にとってIOTAを導入するインセンティブはないと分析している。
昨年の2017年9月には、MIT Media LabによってIOTAの使われているハッシュ関数「Curl」に脆弱性があったことも指摘されている。脆弱性は異なるインプットから同じハッシュ値が検出されるというものだった。IOTAの開発チームはすでにこの脆弱性を修正しているが、技術力に疑問符が付く結果となっている。
仮想通貨の分野には多くの新たなアイデアと技術が次々と生まれている。一方、アイデアだけが先行し、最も重要な技術力が追いついていないプロジェクトも多く存在する。アイデアがどれだけ優れていても、技術的にも現実的にも実装が可能であるものでなければ、ただの幻想となる。Multicoin Capitalは、IOTAは現状技術的に未発展で投資対象となる段階にはなく、現在の市場価格は高すぎると最後に書き記した。
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