リスク逃避需要が伸びない暗号資産:先物バイサイド・トレーダーはショートポジションを更に拡大

長谷川友哉
2019-03-25
(
Mon
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暗号資産市場に米ドル利上げ見通し引き下げの恩恵はなしか

先週行われた米連邦公開市場委員会(FOMC)での年内利上げ見通し引き下げ発表を受け、米ドルが対円で大幅に下落している(第1図)。昨年は段階的な利上げの見通しとトランプ政権のレパトリ減税施行の影響などもあり、Q2〜Q3ではドル高が進んでいたが、ドルの利回り上昇への期待値がなくなればこうした流れにも変化が起きると推察される。

そこで焦点となるのは、ドルから資金がどこに流れるかだが、世界経済の先行き懸念もあり、足元では金などの安全資産にその一部が流れている模様だ。2017年に暗号資産の相場が急騰した背景には、米ドルの利率が低水準だったことが挙げられるが、FOMC開催後の主要暗号資産の相場は引き続き方向感に欠ける展開が継続しており、リスク逃避マネーが市場に流れ込んでいる印象は現在のところない(第2図)。

【第1図:USD対円チャート】

出所:investing.comより作成

【第2図:BTC対ドルチャート】

出所:coinmarketcapより作成

米ファンド勢先物ネットポジションは4週連続でショートが拡大

米時間22日に発行された米商品先物取引委員会のCOTレポート(Traders in Financial Futures)によると、3月19日時点でのファンド勢(Leveraged Funds)のネットポジション は、前回の-2449から-2863となり、4週連続でショートが拡大している。インデックス化したファンド勢のネットポジションにおいては、昨年の6月5日ぶりに20%を割り込み、足元13.98%で推移。計測期間中で4番目に低い数値となっており、バイサイドの市場参加者の大多数は、弱気な観測を強めていることがわかる。(シカゴ・マーケンタイル取引所にBTC先物が上場してからのレポートを基に計測:期間中の最小値をゼロ%、最高値を100%とした時のロングとショートの勢いを表している)(第3図)。先週は、上述のFOMCやブレグジットを巡る動きなどもあったため、BTC先物市場でもリスクシナリオ発生の可能性を織り込んでいたと考察されるが、重要経済イベントを通過したにも関わらず、BTCの対ドル相場は依然様子見ムード一色となっている。

バイサイドの中でも、アグレッシブかつ巧妙な投資戦略でトレードを行うファンド勢のネットポジションは現物市場のトレンドの先行指標としても参照されるため、足元のショートポジション拡大には注意したい。

【第3図:米BTC先物市場におけるファンド勢ネットポジションのCOTインデックス】

出所:CFTCより作成

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