仮想通貨市場「パンプ&ダンプ」スキームの被害額が918億円に上る

真田雅幸
2018-08-07
(
Tue
)

ウォール・ストリート・ジャーナル紙の調べによると、ここ最近の6ヶ月間の仮想通貨市場で「パンプ&ダンプ」を仕掛けたトレーダー集団が得た利益は918億円に上る。パンプ&ダンプは最低でも175回行われ、121種類の仮想通貨が利用された。

パンプ&ダンプは、対象となる資産の価格を適正価格以上に吊り上げ、過剰なプロモーションを行い市場参加者を惹き付け、投資家の買いが積み上がったところで売り抜けるというものだ。

映画「ウルフ・オブ・ウォールストリート」のモデルとなったジョーダン・ベルフォート氏は、仮想通貨市場に起きているパンプ&ダンプをペニーストックを使って行っていた。ペニーストックは、投機的安物株とも呼ばれ仮想通貨同様荒い値動きをすることが多い。

パンプ&ダンプの実行者は、情報の非対称性を利用し投資家を惑わせる。仮想通貨の技術は新しいく一般に知られていないため、実際にどのような仕組みで機能するのかを詳しく理解している投資家が少ない。そのため情報を操作することでハイプを引き起こし、価値の無いものを価値があるように見せることが容易にできてしまうのが現状だ。

仮想通貨市場でパンプ&ダンプを行うトレーダー集団は、Telegramなどのメッセージアプリを活用し連絡を取り合い、価格を吊り上げる日時などを決める。ウォール・ストリート・ジャーナルによると、Telegramのグループ「Big Pump Signal」は7.4万ユーザーがフォローしており、確認されているだけで26回のパンプ&ダンプが行われ、240億円の収益を上げたと報告されている。

仮想通貨取引所は世界に点在しており規制されていない取引所も多いため、パンプ&ダンプなどの価格操作が行われやすい環境になっている。米証券取引委員会(SEC)がビットコインETFを承認しない理由も、市場価格の決定プロセスが不透明であることが挙げられている。

仮想通貨取引所は所在する国によって規制方針が異なるため、一律のルールのもと規制することは不可能だ。パンプ&ダンプのようなスキームをすべて監視することも現実的ではないため、市場価格の決定プロセスは自由市場に任せるしかないだろう。

パンプ&ダンプが起きるのは仮想通貨市場の参加者が未熟であるとも言える。しかし同じ詐欺に2度も3度も引っかかる投資家は少ないため、詐欺師の収益は次第に減っていく。規制のない市場だからこそ多くを学べる投資家もいるだろう。市場参加者が正しい知識と情報を持つようになれば、パンプ&ダンプは減少し規制がなくても価格は自然と適正価格に近づいていくことになる。

Wall Street Journal

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著者
真田雅幸
マーケット・アナリスト

米国の大学で経済学を専攻しお金の流れについて興味を持つ。在学中にビットコインに興味を持ち、bitbankのメディアで寄稿を行う。2015年頃からビットコインのトレードを始め、デリバティブ情報も分析しながらトレードを行う。

米国の大学で経済学を専攻しお金の流れについて興味を持つ。在学中にビットコインに興味を持ち、bitbankのメディアで寄稿を行う。2015年頃からビットコインのトレードを始め、デリバティブ情報も分析しながらトレードを行う。
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