アメリカでICO発行者に新たな逮捕者

真田雅幸
2017-12-07
(
Thu
)

米証券取引委員会(SEC)は、ICO(イニシャル・コイン・オファリング)の発行者の一人を詐欺の容疑で逮捕したと発表した。ICOを主導したドミニク・ラクロイックス容疑者は、ICO を通じて出資者から約16.8億円を集めていた。同容疑者は出資者に対して、約一ヶ月以内に投資額の13倍のリターンを期待させる内容の説明を行っていた模様だ。

今回のラクロイックス容疑者の行動が米証券取引法に違反したため、同容疑者の逮捕に至ったとSECは発表している。捜査は主にSECの特殊捜査班のサイバー・ユニットが先導したようだ。SECのサイバー・ユニットは、仮想通貨及びICOに関連するサイバー犯罪の捜査を主な役割として、今年9月に結成されていた。

仮想通貨の一部にはすでに証券として定義されているものもある。イーサリアムのプラットフォーム上で発行されたトークン DAOは、証券に該当するとの見解をSECは示している。証券と定義されたトークンは、一般的な株式やファンドと同じ発行手順を踏まなければならない。

ICOは投資家に購入特典などを付与し資金を募る。一部の例だと、不動産や金などの投資商品を後に格安で購入できる特典などがある。しかし、詐欺まがいのICOでは投資家が購入できる投資商品が実際には存在していないなどの事件が多発し、SECはこれを問題視していた。

ICO詐欺の問題は、押収したトークンをどのようにして被害者に返還するかという点だ。トークンの送金履歴を辿れば、被害者のアドレスにたどり着くことは可能かもしれない。しかし、そのアドレスが被害者のものであるということを証明することは困難だ。ICOには、まだまだ技術的にも法的にも改善しなければならない点が多く存在することを示している。

一方で、このような問題が起こる要因として、被害者側に全く問題がないわけではない。通常であれば、 一ヶ月以内に13倍のリターンを約束する金融商品など存在するわけもなく、金融リテラシーがある投資家は、このような話をまず信じないだろう。

ICO詐欺事件が起こるに至る根底には、人間の誰もが持つ「楽してお金を稼ぎたい」という心理がある。ICOの発行者側と出資者側の両者には、皮肉にも楽をしてお金を稼ぎたいという思惑が一致している。両者は被害者と加害者という異なった立場ではあるが、楽をしたいという意味では似たもの同士であり、互いに需要を満たし合っている部分が少なからず存在する。ICOに対して厳しいルールが敷かれるか、正しい理解が浸透しない限り、ICO詐欺事件がなくなることないだろう。

Coindesk

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著者
真田雅幸
マーケット・アナリスト

米国の大学で経済学を専攻しお金の流れについて興味を持つ。在学中にビットコインに興味を持ち、bitbankのメディアで寄稿を行う。2015年頃からビットコインのトレードを始め、デリバティブ情報も分析しながらトレードを行う。

米国の大学で経済学を専攻しお金の流れについて興味を持つ。在学中にビットコインに興味を持ち、bitbankのメディアで寄稿を行う。2015年頃からビットコインのトレードを始め、デリバティブ情報も分析しながらトレードを行う。
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